<とにかくスペインと似ているポルトガルの雰囲気>

 リスボンの街は建物の構造や道路の様子がスペインと良く似ており、マドリッドから来た私にとっては同じスペイン内の地区に居るような感じがしました。強いて言えば、スペインはレンガ色の建物が多いがリスボンはそうでもないというところでしょうか。バスや地下鉄の便も良く、きれいに整備されています。また地元の人々の雰囲気もスペイン人と変わりは無く、気さくな感じが伺えました。ただしキューバにいたような「日本人は皆友達さ!」とか言う人や買って買って星人はおらず、程よい親近感といったところです。ポルトガルは文化や気候、気質の面でスペインやイタリアに近い国であり、北欧や東欧の人と比べると暖かい雰囲気であると言われます。日本人から見ても好感を持って付き合えるのではないでしょうか。



<ポルトガルではどの位スペイン語が通じるのか?>

 今回は、「ポルトガルではスペイン語がどの位通じるのか?」を確かめたかったという事も旅行目的の一つでした。スペインでは食品の包装紙や電化製品の説明書などにポルトガル語が並記されている事が多く、殆ど同じ文章である事もあります。実際ポルトガル語はイタリア語と共にスペイン語と同じグループに属します。ただ私の好きなポルトガル語の歌がスペイン語とはかなり異なって聞こえた事もあって、実際にはあまり通じないのではないかとも思っていました。それでも周りのスペイン人は「スペインではポルトガル語はあまり通じないが、ポルトガルではスペイン語は割と通じる」と言っており、また英語だけの場合でも私自身の会話の幅があまり広がらないのは事実なので、「スペイン語で押し通すポルトガル旅行」と称してリスボンに乗り込む事にしました。

 空港に着いてタクシーに乗る際、早速スペイン語で「ホテルに行きたい。大きな公園の近くにある。」と言いましたが、1回で通じました。ただその後運転手がポルトガル語で何か話し掛けてきたのは理解出来ず、笑ってごまかしました。またホテルのフロントや駅そして観光地は勿論のこと、警察官や一般のお年寄りもスペイン語を理解しており、会話が簡単だったという事もありますが相手がポルトガル人の場合は100%通じる事が分かりました。

 このような状況ではやはり先に「スペイン語を話せますか?」と尋ねるのが普通ですが、私は唐突に話し掛けて通じるかどうかを確かめたかったので、常に何の前置きも無しにいきなりスペイン語を話し掛けました。その際相手の反応は落ち着いたもので、どの人も慌てる様子はありませんでした。そして答え方として(1)スペイン語を話す(2)英語で答える(3)あくまでポルトガル語、の3通りありました。(1)の場合は少なく、(2)と(3)が同じ位でしょうか。(3)の場合、私のスペイン語がたまたま表記の似ているポルトガル語に聞こえたか、私がポルトガル語を理解出来ると勘違いした可能性もあります。しかしこれもスペイン人が言っていたように「スペイン語は聞いて分かるが話せない、もしくは話したがらない」という可能性が高そうですね。良い例かどうか分かりませんが、日本で言うと「東北の人は大阪弁をきちんと話せる訳では無いが、ほぼ理解は出来る。逆に大阪の人が東北弁を理解するのはずっと難しい」というのに似ていると思います。

 さてこのポルトガル語なんですが、やはりと言うか悲しい事にと言うか殆ど理解出来ませんでした。表記は似ているもののローマ字読みでほぼ通じるスペイン語とは発音がかなり異なり、会話の中の「シュ、シュ」という音が耳につく(例のポルトガル語の歌でもそうです!)上にボソボソとこもって聞こえます。これら複雑な発音のせいで、「スペインではポルトガル語はあまり通じないが、ポルトガルではスペイン語は割と通じる」という状態が起こっているのだと改めて理解出来ました。数字はほぼ同じ発音で、道を尋ねる場合も身振り手振りで理解出来ました。しかし後はたまーに「それって、○○の事?」とおぼろげに分かる程度。もし電話での会話だったら400mのラストばりにただ涙に暮れていた(こんな感じ)事でしょう。考えてみたらスペイン人ですら分かりにくいというポルトガル語です。やはり私が聞いて何とかなるレベルではありませんでした。しかしそれで悲観的になった訳では無く、たまに分かるのが面白くて楽しんでいたのは事実です。ちなみにスペイン語できちんと会話が続いたのは、ポルトガル人青年とギリシャ人女性(女の子ではない)の2人とそれぞれ話した時でしたが、この人達はネイティブレベルでしたので特別ですね。

 結論を言うと「旅行会話レベルならスペイン語だけでOKだが、込み入った話をするなら英語かポルトガル語の理解が必要」ということになりそうですね。勿論英語だけでも旅行なら全く問題無しです。



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