練習日誌・スペイン体験談

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2005年4月30日 (土) 新しいレースペースを目指して

　今後400m56秒台を目指すにあたり、今週から新しいペース作りに取り組むことにした。私自身、今までのペース配分（200m通過が27秒台前半）での56秒台突入には限界を感じており、26秒台後半で入るパターンを検討している。技術的には、最初の100mでの加速をより強く意識することになる。もちろん現時点ではオーバーペースで、200～300mでの失速は間違いない。レースペースの300mが安定すれば400mは確実に走れ切れてきたので、まずこのペースで300mをしっかり走り切れるようにする。
　早速月曜は、新しいペースで坂コースの200m×3を実施。レストは今まで通り200mの歩きで、29秒4・31秒0・31秒0と2本目で大きく落ち込んだ。この2本目はスピード維持という意識ではなくほぼ全力に近い感覚で走り、3本目で止まるような内容でないと目標の練習にならないだろう。次回は1，2本目とも29秒台を目指す。
　今日は30度近い中で、公園コースでレースペース以上では初となる300m×3（レスト30分）。1本目は月曜同様にやや突っ込んで入るも、ラストで余り落ちず45秒3。感覚とは裏腹に、追い風ながら前半で体が動いていなかった事になる。2本目も同じペースで行い45秒8で、ラップを取った200m通過は29秒6。止まった感じではなかったが、わずかに上るコースのせいかタイムは落ち込んでいる。そしてもう1本追加出来る状態だったので、全力で走り45秒5（200m29秒9）と3本目のスピードとしては十分。しかし1本目が動きが悪いので、速いペースに適応しているのかどうか判断が難しい結果だった。これが44秒位のタイムで後半失速しているのなら、まだオーバーペースと判断できる。過去にもたまにこういう経験をしてきたので、何度か継続して行ってみないと分からないだろう。それでもこのペースで3本こなせたという事は、乳酸耐性は2年前より高いと見なせるので、速いペースで練習を行っていく上で有利だと思う。

2005年4月28日 (木) ルーマニアからの移民

　先日テレビでスペインに住むルーマニア人についての番組を見ました。ルーマニア人と言うと、オリンピックなどで見るように金髪の美女の国というイメージがありますが、スペインと同じように金髪の人の割合は少ないようです。また東欧の国でありながら、スペイン語やイタリア語と同じラテン系の言語を話すという事が特徴です。肌色がやや色黒いのが特徴ですが、スペイン人と見分けがつかない場合もあります。

　ソビエト崩壊後のルーマニアは経済状態が悪く、失業者の割合が高い状態です。よって、国外での職を求めてスペインに渡ってくる人が多いというのが現状です。しかし実際には就職の可能性は低く、物乞いをしながら何とか食べていっている人を多く見かけます。実際地下鉄の駅構内でも、ギターやバイオリンを弾いてお金を恵んでもらったり、道行く人に「お金を下さい」と言っている子連れの母親によく会います。私もよく言われます。電車の中では、「私はルーマニア人で、子供が3人います。でも仕事がないので、寄付をお願いします。」などと書かれた紙を配っている様子をたまに見かけます。運良く職を見つけられた場合は、工事現場作業員や家政婦として仕事をする場合が多いようですが、これもスペインに多い南米からの移民の人との競争になるようで、狭き門と言えますね。また先述したように、ルーマニア語はスペイン語に近いため言葉の習得はかなり容易のようです。テレビでのインタビューでも、ほとんどの移民ルーマニア人が流暢にスペイン語を話していました。しかしスペイン人にとってルーマニア語の需要は非常に少なく、英語やフランス語のような通訳・語学教師としての職はまずないという事です。

　このように、スペイン在住の外国人の中では最も不安定な生活を送っているルーマニア人。法律上は就労許可書がなければ長期滞在出来ないので、再びルーマニアに帰国した後またやってくるケースも多いようです。ルーマニア政府がどのような対策を講じているのか、詳しいことは分からないのですが、しばらくは現在の状態が続くということ。かつてのイメージとはかけ離れているという以上に、私自身も他人事ではない様に思えるときがありますね。

2005年4月25日 (月) 400mレース参戦記

　23日は今年初の400mレースに参加。地区の記録会のような大会に出場したが、他の殆どの大会と同様に各種目の上位3名にはメダルが贈られる。天候は風がやや強いが、気温20度とレースには好条件。レース開始1時間半前の5時半頃に到着し、ゆっくりとアップを行い試合観戦をしながら時間をつぶした。今回は、400mトラックながら6レーンという珍しい競技場。それでもスタンドは付いており、2月のマドリッド選手権より多い観客でにぎわっていた。

　レース開始は午後7時だが、十分明るく照明は無し。男子400mは計6組で、日本と同じように先の組ほど速いランナーが集まるように組み分けされている。私は5組目の1レーン。全員が前に見えるコースで、一番アウトコースよりは走りやすいか。9ヶ月振りの400mレースになるが、程よい緊張感と言ったところ。あいにく前半200mは向かい風になるが、後半は全て追い風。いずれにせよ記録狙いで走ることは変わらないので、前半から突っ込むパターンで行こうと決めてスタートラインに付く。

　そしてスタート。やはり前半は向かい風を受けるが、最初の100mで加速してその後維持というパターンはスムーズ。この時点で最下位であったが、他のランナーに食らい付くべくポイントとなる200～300mで踏ん張り、去年とは違うぞ！という気持ちでホームストレートへ。ラストは徐々に失速しゴール前で止まったが、57秒台を出した時に近い理想的な形でゴールイン。今日は撃沈音楽隊の出番はなく、レース後の疲労もそれ程ひどくはない。息を整えた後タイムを尋ねてみると、58秒56。緒戦のベストタイムであり、海外でのベストタイムという事にもなる。4月に入ってからの練習で、400mにもかなり適応しているのではと思っていたが、それを表すようなレース展開だった。実際前半200mの通過は28秒フラットと思われ、後半は追い風であったにしても前後半の差は今までのレースで最も小さかっただろう。ラスト100mの状態から見ても、そう言える。今後56秒台を目指すにあたって、地力は付いたと断言出来るレースであった。ちなみに優勝者でも50秒は切っておらず（女子は59秒位）、地区の記録会と言うのがぴったりだろう。

　さて、この大会は前回のマドリッド選手権と同様に参加費はゼロ。協会の会員は入会時に日本円で約1万円を払っており、どうやらその中に参加費も含まれているようである。それなら大会に沢山参加した方が得であることは言うまでもない。逆にこれだけ高い入会金の上に「参加費は3000円となりまーす！」とか言われたら、スパイク（もちろん爪先側）で頭を叩き込んでやりたくなるだろう。また競技会の雰囲気もいつも通りのんびりしており、私がタイムを訪ねた時も快く教えてくれた。

　マドリッドに来てからは一番良い内容の400mレースであった訳だが、実際走ってみないと分からなかったのは事実で、無事緒戦を終えた事にまずホッとしている。今後の練習で取り組むべき事も分かっているが、焦らず腰を据えて行って行きたい。
　

2005年4月19日 (火) 向かい風の200m坂×3で両ふくらはぎ痙攣

　昨晩は今週末の400mレースに向けての最後の練習。また風が強かったが、公園コースで行うには暗くなりかけの微妙な時間帯だったので、向い風の坂コースで200m×3を実施した。1、2本目は積極的に飛ばしていく感じで30秒3、30秒9と無風時並みのタイム。この反動で3本目はゴール前で止まり31秒7だったが、前半が向い風のレースをシュミレーションしたような結果となり、練習としてはうまくいったと言える。
　今回は2週間前と同様のケツ割れと酸欠に見舞われたが、家に戻る途中で両ふくらはぎを痙攣してしまった。私はスプリントでは爪先着地を意識しているせいか、今までもふくらはぎの痙攣を頻繁に起こしてきた。それでも、両方は何年振りだろうか。だが向い風の中速いペースが出ていた訳で、それ程心配な事ではない。土曜日のレースには全く影響しないだろう。
　レース本番の予想だが、前半200mは27秒台後半の通過になると思う。今まで記録更新をした年の緒戦は、300mまでは快調でその後ピタッと止まるという共通した展開。300mはしっかり走れるがラストは未知数、という緒戦の状態を表していると思う。今回もそうなる可能性が高いが、試合を通じてラスト100mを強化するという方針なので、むしろどういう展開になるか楽しみにしている。緒戦ベストの58秒79を破れる可能性は十分にあるだろう。

2005年4月16日 (土) 坂コースの300m×2も好調

　4月に入ってマドリッドは今一つ気温が上がらず、今週も半袖短パンでの練習には寒い天候。それでも予定通りの練習はこなせた。
　月曜は、このところの平日メニューである400mペースの200m坂×3を実施。1、2本目は30秒3、31秒1とまずまずで、前半から突っ込んだ3本目は30秒0。前回とは逆にラストが一番速かったが、1本目を上回るとは思わなかった。乳酸の蓄積も前回より軽く、今後は1、2本目を29秒台のペースでこなすことで負荷を上げたい。
　今日はまた公園コースでの練習。平地が向かい風のため、逆向きの坂（最初の60mは平地）で300m×2を行った。400mペースの1本目はさすがにラストはきつかったが、平地と同じ感覚で走れ44秒2のコースベスト。30分後の2本目も全力で45秒1と、何とか1秒落ちにとどめた。それでも少し余裕があり、20分後に同じコースで150mを追加したが、これも20秒9とコースベスト。追い風を考慮しても、スピード面もまずまず。
　去年はこのメニューだと1本目終了時点でかなりの酸欠に陥ったが、今年は200m×3の状態と併せて考えて、確実に乳酸耐性が上がっていると言える。来週のレースでは、いきなり58秒そこそこのタイムも期待出来そうだ。

2005年4月14日 (木) 冠詞が無いと

　実験で使う酵素を他の研究室から借りるため、研究所内の全スタッフ宛に「もし○○という酵素を持っていたら、３マイクロリットル譲って下さい」という内容のスペイン語のメールを送りました。今までスペイン語のメールは何回か書いているので、今回が特別だった訳ではありません。内容自体も簡単で、会話で使っているフレーズをそのまま文章にしたようなものです。これを読んだギリシャ人同僚が、笑いながら「意味は通じるけど」といくつかの点を指摘してくれました。

　その中で、冠詞が抜けているという指摘がありました。スペイン語では英語のaやtheと同様に名詞の前に冠詞が必要ですが、名詞に男性形と女性形があり、それによって使う冠詞も区別します。英語でもそうなのですが、本などでは「冠詞が無いと自分が言いたい物を特定出来ない」などと書いてありますが、私自身はピンと来ません。実際会話では殆ど無視しています。と言うのも冠詞は日本語にはない概念なので、「冠詞を付けないと、どう不自然なのか」を具体的に理解するのが難しいからだと思います。例えば「I have a dog」を「I have dog」と言った時、どのように聞こえるのかがイメージ出来ないと言う事でしょうか。しかし実際の会話や文章では、全く無視しても前後関係から意味は通じます。またaなのかtheなのかの厳密な区別はネイティブでないと分からないようで、日本の英語の専門家でも難しい事があるようです。
　
　それでも、論文や正式文書などある程度正しい文章を書かなければならない機会があるのは事実です。特に文章にすると、会話では気にならなかった文法上の誤りが際立って見えてくるという特徴があります。メールであっても、文章が正しければ読み易く誤解も無くなりますので、少なくとも書く時は冠詞について意識してみようかと思います。ちなみに今回書いたメールを日本語に訳すと、「もしあなたが○○という酵素というものを持っていたら、私　に３マイクロ　リットル譲って下さい」という感じで、言い回しの他に本来１語にするところを離して2語にしたところが気になったという事です。

2005年4月10日 (日) 追い風を利用して300m×2

　昨日は晴れてはいたが強風。それでも公園コースなら向きを変えて坂で追い風での練習が出来るので、とりあえず公園に向かった。幸い平地コースが追い風で、ここで300m×2を行う事が出来た。1本目400mペース・2本目全力のタイムは43秒8と44秒9（30分レスト）。やはり強い追い風の影響が出ており、いつもは苦しむラスト100mもスムーズで、無風のトラック時並のタイムが出た。2本目は後半ふくらはぎがつりかけるも何とか走破。1本目より1秒落ちで、ゴール前で止まりかけた展開も練習としては理想通りか。風のお陰でこのコースでは初めて2本とも45秒を切ったが、無風で1秒プラスと考えてもシーズン入りの時期としては悪くはない状態。それでも今季は、最終的には無風でも今日と同レベルのタイムを出せる力を付けるつもりである。

2005年4月9日 (土) RとLの区別は重要？

　研究室では、私のスペイン語について話題になる事がやはり多いです。それについていくつかお話したいのですが、長くなるため2部に分けて紹介したいと思います。今回はスペイン語の発音についてです。

　この前ギリシャ人同僚（スペイン語はネイティブレベル）が「RとLを区別していないが、それ以外の発音は問題ない」と言っていました。以前にも紹介したかと思いますが、スペイン語はスペルをそのままローマ字読みすれば殆ど通じるため、日本人にとっては英語よりずっと発音し易い言語だと思います。ただ英語同様に、RとLは区別します。特にRが２つ重なると、ちょっと怖いお兄さんのように（？）強く巻舌を効かせて発音します。私は会話では英語でもこの2音を殆ど区別しておらず、日本人や中国人に共通した点だという事ですが、これがネイティブスピーカーにとっては違和感があるようなのです。実際研究室での会話で、他の学生にも「それはLじゃなくてRよ」としばしば指摘されます。例えばスペイン語で「しかし」と「髪の毛」そして「犬」は「ペロ」と言いますが、スペルはそれぞれ「pero」「pelo」「perro」で異なります。勿論会話の中では前後関係が分かりますから、「えっ、昨日犬を切ったの？」というような誤解はありません。特に日本語や（おそらく）中国語では巻舌のRを使わないので、なおさら区別しない傾向が強くなるとも言えます。ちなみにスペイン語ではSとZがサ行に当たりますが、Zの方は舌先を噛んで発音する（英語のThisと同じ）ので、別の発音になります。しかしこれに関しては、区別していない私も殆ど指摘された事がなく、やはりRとLの場合はより明確な区別意識があるようです。ギリシャ人同僚に聞いてみると、ギリシャ語でもこの2音は区別すると言う事です。もし日本語でラ行を巻舌で発音したら非常に違和感がありますが、ヨーロッパでは逆に区別しないのが奇妙に聞こえるのでしょう。
　
　もっとも会話力そのものの強化に比べれば、あまり重要な事ではありません。それでも私も出来れば意識してみようかな、とは考えています。なお次回は、私が書いたEメールを巡っての話題についてお話します。

2005年4月5日 (火) ペースアップして200m×3でオールアウト

　昨日の夜は、200m坂コースで400mペースの200m×3（レスト200mW）を実施。先週に引き続いてのメニューで、今回は2本目でペースが落ちないよう心掛けた。1本目が30秒1、2本目は31秒0と許容範囲のペースダウンにとどめ、3本目は全力で31秒9だった。2本終了後に乳酸が溜まり始め、3本目の後には歩くのもやっとのケツ割れ。1秒ずつ落ちていったタイムも順当で、目標通りに3本でオールアウトに持ち込む事が出来たと思う。それぞれ400mの前半・中盤・ラストを意識して走り、1本目のトップスピードに乗るまでの感覚もまずまずスムーズ。現時点では200mは26秒台前半の走力だろうが、400mはラストで極端にペースダウンする事無く59秒前後で走れそうな気がする。

2005年4月2日 (土) 去年とは明らかに違う体質

　月曜の夜は最後の9割ペース300m×3の予定だったが、とにかくコースと家の往復が面倒臭い。そこで、近くの坂の歩道で400mペースの200m×3（レスト200m歩き）を試してみた。昨年6月に平地で行った時は、28秒6・30秒2・33秒5で夜空が涙でかすんだメニュー。今回は2本で終わるかと思ったが、30秒7・33秒2・31秒5で割と余裕を持ってこなせた。さらに5分レストで4本目を追加しこれは34秒5だったが、平地よりやや遅い事を考慮しても、かなり400mペースにも適応している状態。しかし2本目も意識してペースを維持すべきで、そうすれば3本でもオールアウトに出来るだろう。この歩道も人通りはまばらで、気を付ければスプリントペースでも安全だと分かったので、今後の平日練習に利用したい。
　今日は雨で公園コースが使えず、またスパイクを持ってトラックに出向いた。300m×2を行い、1本目は400mペースで42秒7。35分レストで全力の2本目は43秒2で、雨の300mトラックという事を考慮しても現在400m59秒前後は出せそうである。そしてレストの間は倒れる程の酸欠には陥らず、これは去年と大きく異なる点である。冬練の積み重ね、そして継続しているレッグカールの効果が現れ始めたのだろうか。とにかく2年前と似た状況なのは嬉しい事で、今後のスピード強化と併せて56秒台が目指せると見ている。