練習日誌・スペイン体験談

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2005年6月30日 (木) 格別の配慮

　マドリッドでは、私は電車かバスを交通手段として利用しています。バスに関しては、停留所に時刻表があるものの出発点と終点の時間しか書いておらず、分かるのは何分置きに来るかという事だけです。日本では各停留所ごとの発着時間が分かりますので、私も慣れるのにちょっと時間がかかりました。そして停留所に例え多くの人が待っていても、手を挙げない限りバスは止まりません。来るバスに気付いて慌てて手を挙げる人もいますが、殆どの場合通過します。また運転手がブザーに気付かず停留所を大きく越えて止まる場合もありますが、この時も謝るような事はしません。乗客もあまり文句を言わず、苦情電話がジャンジャン掛かって来る日本とは大きな違いがあります。基本的にスペインでは、何か問題があればその場で直接言うのが普通で、言いにくいから後で電話やメールで問い合わせるという国民性ではないようですね。

　今朝研究所に向う時も、途中の停留所で一人の女性が慌てて手を挙げました。しかしバスは止まれずそのまま通過するかと思いましたが、100m程先で止まりました。そのまま待つのかと思いきや、運転手が降りて待っている女性を呼びに行ったのです。おそらく女性が諦めて次のバスを待っていると思ったのでしょう。いつもこのバスを利用している知り合いだったのかも知れませんが、不親切な運転手が多い中で、こういう場面は初めて見ました。スペインではサービス業に当たる職種でも客に配慮しない場面が多く、日本の感覚でせかしても「手が空いていないから」とはっきり言われます。「ドアを開けて通る時に他の人がいれば、譲るのが常識」というようなスペイン人のマナーを考えると、どうしてもしっくり来ないのですが、これも私の日本人的な思考で考えるからなのでしょう。ある意味、今日の運転手の親切心はスペイン人としては格別なものかも知れません。

2005年6月26日 (日) 気温30度だと涼しい

　今週火曜日の平日練習は、レース後ということで軽めに。ロードの坂コースで200mを2本走ったが、追い風もあって400mペースで28秒7、28秒6と快調。
　そして昨日から追い込んだ練習を再開、300mトラックで300+200m（90秒レスト・セット間40分）を2セット実施した。200mまでが向い風とあって、1セット目は43秒4+30秒8と300mが今一つ。結果的に+200mのタイムは前回より上がったが、このペースではいくら頑張ってもレースでは58秒台しか出ない。2セット目は300mを上げるつもりでスタート、しかし44秒4+32秒2とさらに潰れてしまった。2セット目は風向きを考慮して、スタート位置を変えても良かったかも知れない。そして1セット目は、風が強くても300mは42秒台で入りたいものである。

　昨日は午後に練習したが、気温30度ちょっとだと余り暑く感じない位。汗もそんなにかかないと思いきや、家に帰って体重を量ると、食後にも関わらず57キロしかなかった（通常は59キロ前後）。乾燥しているため汗の蒸散量は相当なものらしく、これからも水分補給には注意したい。

2005年6月21日 (火) マドリッド選手権出場記その2

　今大会も色々な選手と話をした。1日目には大学内でたまに見かける顔があったので話しかけてみると、私と同じように現在博士研究員（専門は物理学）をしているという事。5年前の49秒台がベスト記録の400mランナーで、今回は見事銅メダル獲得。27歳の今年も50秒そこそこで走っており、なかなかのレベルである。そして前回このコーナーで紹介した「ベラベラ星人」も800mに参加していた。レース前だったせいか、今回はあまりベラベラしていなかったのは救い。彼についての詳しい説明は、またの機会に。その一方で、以前会ったのに私が覚えていない人もいた。1週間前の練習で会った800m選手すら、一瞬思い出せなかった程。実際日本人の場合に比べると顔の区別がまだ難しく、特徴が無ければすぐには見分けられないのは事実である。またある選手には「今年400mを走るのを3回見た」と言われた。彼を見た事はあるような無いようなという感じだが、他から見れば私は普通にしていても当然目立つし、400mではいつも涙のホームストレートときている。おそらく、今回出場していた殆どの選手が私の顔を知っているのではないだろうか。という訳でマドリッドの大会では人気者（？）となりつつあることも、嬉しい事である。

　それから今大会でもそうだったが、少なくともマドリッド地区規模の大会ではゴールタイマーが置かれていない。日本では陸協の記録会で200m地点にもタイマーが置かれていた事があり、それを考えると今でも少し違和感がある。勿論最終的には記録の確認は出来るが、スペインでは普通の事なのだろうか？今度誰かに聞いてみたいものである。

　400mに照準を合わせていたが、期せずして200mで自己ベストが出た今回のマドリッド選手権。当然両種目とも予選落ちだが、それは全く問題ない（と言うか通るはずが無い）。留学前はタイムトライアルで走力を維持していければ十分と思っていたが、夢だった海外での公認試合での記録更新が現実になったのである。これは一生の記念に残るだろう。そして今度は400mの番である。今シーズンは残すところ後1ヶ月だが、200mでの結果を励みに諦めずにトライしていきたい。

2005年6月21日 (火) マドリッド選手権出場記その１

　17日と19日はマドリッド選手権。地区大会としては、2月の室内大会（開催は屋外）に続くビッグイベントである。2月の時は3000mで出場し、今回は短距離種目でという予定通り、17日に400m、19日に200mに参加した。17日は金曜日のため夕方からのスタートだったが、研究室を出た6時の時点でまだ30度を越えていた様子。それでも乾燥しているため、大きな不快感は無かった。今回の選手権は最近出来たという「ホアン・カルロス1世大学」（現スペイン国王の名前から由来）内のトラックで行われたが、行ってみるとたいそう立派なのに驚いた。観客席には不必要なくらい大きな屋根が付いており、トラック自体も非常にきれい。大学のトラックとしては破格のレベルと言っても良い。そのせいかどうか、初日は2月の大会よりずっと多い観客数で賑わっていた。

　400mレース予選は9時前のスタート。まだまだ明るく、照明は無かった。今大会は選手権とあって、各組に速いランナーと遅いランナーが混じるように組み分けされていた。私は2組目で一番外側の7コースなので、組内での持ちタイムは一番遅いようだった。それでもこれまでの練習自体は好調なので、自分のレースをすれば結果は付いて来るだろうと考えた。幸い風は弱く、絶好のコンディションの中でスタートを切った。前半の加速とスピード維持はまずまずで27秒台中盤位、すぐに内側の選手に抜かれていったが慌てない。後半も何とか頑張り、差が広がった状態ではあるが必死にもがいてゴール。感覚的に前回のレースと殆ど同じ展開で、57秒台はぎりぎりかな？という内容。しかしタイム確認をしてみると58秒15で57秒台はならず、少し残念な結果であった。58秒台でがっかりしたのはおそらく今回が初めてだが、ベストを尽くした結果なので仕方が無い。やはりラスト100mをもう一段階強化しないと、大幅な記録更新は難しいと認識出来た。

　2日目は午前中からの開催。この日は決勝種目が目白押しなのに、観客はそれ程入っていない。初日以上に暑かったが、中1日の休養で疲労は殆ど無く、200mは問題なく走れそうだ。マドリッドで日中の短距離レースを走るのは、実は今回が初めて。先に女子の5000mと男女の3000m障害が行われたが、女子の方はいずれもレベルの差が大きく、前半で大きな差が付いていた。女子の3000m障害レースを見るのは初めてで、ハードルの高さはやはり男子より低い。経験の浅い選手が多いようで、水壕を越える度に止まってしまうランナーが多かった。午前中とは言え長距離には過酷な条件、5000m共々大変そうだった。

　さて200mレースは1年振りで、マドリッドでは2回目になる。今回気を付けたのは最初の100mの走り。今までは前半リラックスの意識が強かったせいか、腕振りがやや小さく結果的にストライドが余り伸びていなかった。しかし他のランナーを見てみると、前半からストライドを稼ぐようなフォームなので、こちらの方が上手くスピードに乗れるのではと昨年辺りから思って来た。アップ時のスタート練習では上手く出来ているのかどうか今一つ分からなかったが、とりあえずレースで実践してみようという事に。

　200m予選は最終組の1コース。真ん中レーンには、100mファイナリストのキューバ人がいた。スタートはフライングがあったが、二度目は問題なし。前半は腕振りとストライドを意識しつつも、力みは無く理想的な状態。中盤もスピードを維持し、ゴール前で止まりかけるがかなり良い形で8人中7位でフィニッシュ。体感的には何とか25秒台は出ているようだったが、400mの結果から考えても記録更新は微妙に思えた。そして記録を確認すると、25秒68。僅か0.04秒であるが、4年ぶりの自己記録更新である。結果的には前半の積極的なペース（12秒8～9か）が効を奏したと言える。勿論400m練習の中で、同時に200mのスピード持久力も向上してきた事が一番の原因だろう。それにしてもこの4年間、惜しいところで記録更新を逃し続けて来た200m。その記録をマドリッドで破ったという事はやはり感慨深い。

2005年6月15日 (水) ハイレベルなランナー達との出会い

　月曜か火曜に17日の400mレースの最終調整をと思っていたが、日曜に繰上げてもいつも通り中4日。2日続きではあるが、折角なので日曜の夕方に300mトラックで調整を行った。やや筋肉痛だが何とか行けそうなので、レース前半ペースの200mを1本。前半が強い向い風で非常に加速しにくかったが、後半はまずまずスムーズで27秒9。この前半200mのペース配分は完全に身についており、レース当日も心配無いだろう。

　ところで土日は他の選手もトラックで練習していて、土曜にいた一人は3000mのベストが8分20秒という事！1000mのインターバルを行っていたようだが、ペースは異常に速く、フォームもスプリントの流しと見間違えるほど。体型は日本の長距離ランナーとは異なり、上半身はややがっしりしている。なるほどスプリントのような力強い腕振りで押していける訳である。ランキング表を見てみると、1500mは3分51秒で今季マドリッド4位、5000mは14分42秒で1位である。他にも幅跳び6m20の選手がおり、日曜は800mが1分58秒のランナーとも少し話した。幅跳びの選手は膝の手術でこの1年は試合に出ていないそうで、流しや補強のようなメニューを黙々とこなしていた。800mランナーは約2分のレストで300mインターバルを45秒位でこなしていたが、全体ががっしりした体格で特に脚が太く、一見中距離選手には見えない。そして彼らと持ちタイムについて話した時、私は「自分はあまり速くない」というような事を言ったのだが、彼らは「でも大事なのは参加する事で、タイムは二の次だよ！」と言っていた。スペイン人はこういう時の対応が非常に上手く、おそらくスポーツは楽しむものと言う気持ちが根底からあるから言えるのだろう。

PS. このトラックや試合でよく会うランナーに、「ベラベラ星人」っていうのがいます。おそらくマドリッド選手権にも出場すると思われます。彼については、いつか紹介したいと思います。

2005年6月11日 (土) 1年振りに300mトライアル

　今週は水曜に予定していた200mレースが持ちタイム不足で出場出来ず。これは前日に確認出来たので、その日の夜に公園コースで200m×3を行った。いつも通り200m歩きのレストで29秒4・30秒6・32秒8。無風の平地コースで、1本目は加速・等速ともスムーズでタイムもまずまずだったが、2本目がやや苦しくペース維持出来ず。それでも3本の落ち込み方としては妥当な方なので、1セットのメニューという事も考えて今後も1本目から出し惜しみせずこなしていきたい。
　今日は300mトラックで、試合前のスピードチェックも兼ねて300mと150mのトライアルを行った。今年は何回かトラックでの300m全力走は行って来たが、フレッシュな状態では1年振り。この1本で終わるつもりで集中し、41秒3の自己サードタイム。ラストで落ちたが、前半から突っ込んだ結果なので仕方ないところか。それでも自己ベストの40秒8と同等の走力と言えるだろう。先週の練習結果から予想はしていたものの、やはり300mトラックでのタイムであることを考えると嬉しい結果。30分後の150mは20秒を何とか切れればと思っていたが、19秒3とこれもベストに近いタイム。ゴールまでしっかり走り切れた感覚で、200mでも記録が狙えそうである。
　この2週間は好調を維持しており、来週の400mは57秒台前半のベスト記録は出せる見込みが付いた。気負いは無いので、また雰囲気を楽しみながら走れそうである。

2005年6月9日 (木) 30歳台ランナーの400mの記録

　私が所属しているマドリッド陸上協会はホームページを持っており、各大会の予定や結果などと共に、ランキング表を掲載しています。これには所属している選手全てが掲載されており、検索ツールで年齢別などでも見る事が出来ます。私が皆さんに紹介しているのは男子全員のランキング表で、これを見てある事に気付きました。

　男子400mは現在160人の記録が載っていますが、30歳台は9人と少なく、全員が私と同年代の30～35歳です。実際に他のスプリント種目も30歳以上のランナーの参加は少なく、これは日本と同じ傾向と言えます。そして私を含めたこの9人のタイムを見てみると、49.88, 51.70, 52.72, 56.25, 56.58, 57.78, 57.82, 58.11, 58.88となっています。上位3人は図抜けていますが、他の選手は56秒から58秒台に固まっている事が分かります。そしてランキング表の名前をクリックすると各選手の参加全種目の結果が見られますが、私のように短距離がメインの人、中長距離の練習の一貫として出ている（と思われる）人に分ける事が出来ます。この長年スプリンターとして頑張って来ているランナーと速いベテラン中長距離ランナーの収束点となっているのが57秒前後のタイム、というのは興味深い点だと思います。このように色々な選手のデーターが見られますので、日本の上位30傑表などとは違った楽しみ方が出来るのが特徴ですね。
　
　ところで、一つ不可解な事実があります。400mで49秒88の33歳の選手ですが、これだけのタイムを持っていながらトラック競技の記録はこの１つだけで、後は槍投げや円盤投げの記録です。それもあまり大した記録ではなく（失礼？）、どうも同一人物の記録のように思えません。もしかすると、ある投擲選手が別地区の知り合いのランナーに名前を貸していたのかも知れません（私も日本で2回ほど貸して頂きました）。または、私の200mのように記載ミスの可能性もあります。逆に同一人物ではないと断言出来る証拠もないので、真相は不明ですが・・・・
　
　ちなみに今後56秒台が出せれば、30台の中では真ん中あたりに食い込めます。現時点での他のランナーのベストタイムに変動が無ければという前提ですが、そういう意味でも頑張ってみようと思います。

2005年6月4日 (土) 1か月振りのトラック練習

　今日は300mトラックで300+200mを2セット行ったが、レースに近いスピードで負荷をかけていくようにするため、今後も週末練習はスパイク着用でトラックで行うことにする。今日の練習のために、水曜日に行った平日練習は400mレースペースの200mを10分レストで2本と軽めにしたが、ロードの坂コースなのに27秒5と29秒3と驚異のコースベストタイム。2本目はやや抑え気味でのタイムで、先週の疲労が抜けたどころか、超々回復という位の状態だった。
　そして今日のトラック練習でも練習ベストが出そうな予感はした。300+200mの1セット目は42秒1+31秒5（レスト90秒）で、300mは400mレースペースだが今季ベストタイム。+200mの後半はもがく感じで、57秒台が何とか出せるペースか。このタイム自体はある程度予想していた範囲だが疲労度が大きく、1セットでも公園コースの2セットよりきつい位だった。1セット目でうまく追い込めたし、来週水曜には200mレースを予定している事もあって、2セット目はどうしようかと考えたが、50分後に気合いのスタート。今度は44秒0+31秒6と300mの動きが悪く、やはり意識してペースアップに努め43秒前後に抑えたいところである。このメニューを41秒5+31秒0でこなせれば、56秒台は見えてくると思う。